教えてイオリ先生! みんなの相談室
市販の白髪染めと美容室の白髪染めの違い
薬局で販売している2剤式の白髪染めを使っていましたが、次第に首元や頭皮に肌荒れが出るようになってしまいました。
これからは自染めを止めて美容室でお願いしようと思うのですが、オーガニックやヘナなどを掲げていないような一般的な美容室の白髪染めはどの程度の薬剤が使用されているのでしょうか?
ホワイトチョコさん 34歳
イオリ先生、今回は白髪染めに関するご相談です。 市販の白髪染めで肌荒れを起こしてしまったそうです! |
最近はこういう方が増えているのよね。 昔に比べれば質が格段にアップしたといわれているけれど、メカニズム自体はほとんど変わっていないから、使われている薬剤で肌荒れしてしまうのね。 特に市販品でこういうトラブルが多いわ。 |
メカニズムって。白髪染めってどんな作りになっているんですか? 市販品と美容室では、薬剤が違うんですか? |
いいえ、基本的には同じよ。 簡単に説明すると、通常の白髪染めやおしゃれ染めは市販品でも美容室でも液が2種類に分かれているの。 1種類にはアルカリ剤と酸化染料、もう1種類は過酸化水素というブリーチ剤が入っていて、使用する直前に混ぜて使うの。 |
1剤に含まれるアルカリ剤は、髪の表面を覆っているキューティクルを開かせる働きがあり、2剤の過酸化水素が入り込んで、キューティクルの奥にあるコルテックスという組織内にあるメラニン色素を破壊して脱色するの。 それと同時に、1剤の酸化染料がコルテックスに浸透して、髪を染めるというメカニズムになっているの。 この「キューティクルを開く」「脱色する」「染毛する」が同時に行われて、たった20~30分で染まるようになっているのが市販品ね。 1900年頃は2~3時間かかったというから、スピードという点では進歩しているんだけれど、一気に3つをする上、どんな髪質でも髪色でもきちんと染めるために、薬剤が強くなっているの。 だから、質問者さんのように肌荒れトラブルが起こりやすいのね。 |
なんだかスゴイ仕組みですね。。 ちなみに美容室の白髪染めもまったく同じ感じなんですか? |
薬剤自体はほぼ同じだけれど、お客さんの髪質や状態をチェックしてカラー剤の量やブリーチ剤の量を変えたり、放置時間を調節したり、薬剤が完全に落ちるようにしっかり処理してくれたり、というプロならではのテクニックがあるの。 |
とはいえ、そのテクニックをどの美容師も持っているとは限らないけれどね。 お客さんの髪質や状態を的確に見極める能力は、長い経験がないとつかないでしょ。 それに、お客さんの元の髪の色と希望の色の差を見極めてブリーチ剤の量を調節しなくてはいけないんだけれど、これもとても難しいのよ。 脱色してみたら色の抜け具合が違うとかね。 |
あれ?ブリーチって色を抜くやつですよね。 黒く染める白髪染めはブリーチなんて必要ないんじゃないんですか? |
いいえ、白髪染めでもブリーチの手間は必ずかけるものなの。 というのは、本来の髪の色を合成染料で完璧に作り出すことは困難だし、大抵は少し明るめに染めるでしょ。 元の色のほうが濃い場合、その上に明るい色を乗せてきれいに発色させるには、元の髪色をしっかり抜かないとね。 黒の上に茶色を乗せても、黒のほうが勝ってしまうでしょ。 |
なるほど、黒く染めたい場合でも、全体的に脱色することが必要なんですね。 |
そう、でもその「全体」が難しいの。 毛先に行くほど髪は傷んでいるものだから、ブリーチ剤が強すぎると髪の色が抜けすぎて毛先のほうに行くにつれて色が明るく染まってしまうでしょ。 全体を同じ色に染めるには、ブリーチ剤の強さを根元から毛先までで段階的に変えるというテクニックが必要ね。 でも手抜きをする美容室だと、ブリーチ剤の配合を変えずに塗ってしまうこともあるの。 そうすると毛先がボロボロになってますます色が明るくなるし、切れ毛や枝毛も増えるわ。 |
うわー、難しそう・・・ 美容室で染める時には何よりテクニックの有無で判断すべきなんですね。 でも、どうやって見つければいいんですか? |
こればっかりは、やってもらわないとわからないのよね。 美容室のオーナー自身がカラーリングに力を入れて研究しているところならいいけれど、そうでないと美容師によってかなりテクニックに差が出てしまうから。 薬剤にしても、市販レベルのものから高級なものまで色々あるから、どんな薬剤を使用しているかで全く仕上がりが違うしね。 今は美容室のオーナー自らがブログを開設していることも多いから、そういったものをまめに拾っていくしかないわね。 |
あとは、行く美容室の美容師の髪の傷み具合をチェックすること。 若い美容師が多いところは、よく見ると結構毛先が傷んでいたりするものよ。 染めるのが好きでしょっちゅうやっているせいもあるんでしょうけれど、その傷みを最小限に抑えるのがプロだから。 ただ…。 |
ただ・・・? |
独立行政法人 労働者健康福祉機構というところが行なった「理・美容師の職業性接触皮膚炎」という報告があるの。 それによると、美容師の半数以上が皮膚炎を発症した経験があって、その原因としてヘアカラーが挙げられているの。 参考資料:http://www.research.johas.go.jp/ |
うわー、痛そう! でもこれって、美容室で使う薬剤もかなり危険だということですか? |
そういうこと。 この調査によると、美容室での染毛に使用されるPPD(パラフェニレンジアミン)やPAP(パラアミノフェノール)という薬剤にアレルギー反応を起こす美容師が多くて、被験者61名の63.6%がこれらの酸化染毛剤がアレルゲンになっているの。 もちろん市販の白髪染めにも配合されていて、アナフィラキシーショックで死亡した例もあるのよ。 |
そんなに危険なんですか!? かぶれどころの話ではないんですね。 |
死亡することはめったにないけれど、炎症、かぶれ、頭痛、下痢、腹痛、呼吸困難といった症状は結構あるわ。 だから、市販の白髪染めだけでなく、美容室もあまりお勧めはできないのよ。 特に質問者さんはすでに首元や頭皮に肌荒れが出ているでしょ。ということは同じ薬剤を美容室で使われた場合、同じ反応が出てしまう危険性が高いの。 |
だから、美容室で染める時はこれまで使用していた製品のパッケージを持って行って、事情を説明するほうがいいわね。 カラーリングに力を入れているところなら、刺激の弱い違う染料を使用してくれるかもしれないし、配合や塗布時間も調整してくれるでしょうから。 |
わかりました。 質問者さんは美容室選びに時間をかけるべき、ということですね。 |
美容室で染めたいのであれば、その手間を惜しんではダメなの。 でもそんな時間が取れないなら、市販のヘアカラートリートメントを使用する手もありね。 これはトリートメントだから、髪や頭皮を傷めにくい成分で作られているの。 ヘアマニキュアも、白髪染めよりは危険性が低い染料を使っているわ。 特に質問者さんのように皮膚にすでに炎症がある場合は、こういったものを使用することも考えてみたらどうかしら。 |
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あのー、イオリ先生、相談させてもらってもいいですか? |
なによ、あらたまっちゃって。 言ってごらんなさい。 |
僕の母親はもうすぐ50歳になるんですが、最近、髪のボリュームが減ってきたり、コシやハリが無くなってきたりしてるみたいで、だいぶ悩んでいるようなんです。 なにか良いケア用品はありませんか? |
トリートメントやヘアパック、ドライヤーとかいろいろあるわよ。でも、その前に・・・ |
その前に・・・? |
多くの人が傷んだ髪を修復することに力を入れてるけど、 それって実はナンセンスなのよね。 |
え、あまり意味がないってことですか? |
そうね。傷んだ髪のケアは髪がそれ以上ダメージを受けるのを引き延ばしてくれるけど、あくまでも延命措置だけなので、受けたダメージは修復できないのよね。 |
だから「どうやってダメージを与えないか」を実践した方が、「傷めたあとの補修」よりだんぜん楽なの。 シアンのお母さん、白髪染めとかしてる? |
あ、はい。そういえば月に2~3回くらいかな。 泡タイプの白髪染めが常時ストックされています。 |
原因のひとつはそれのようね。 シアンも美容師の見習いならちゃんと勉強しておきなさいよ。 |
はい。。。 |
薬剤式の白髪染めは黒い髪も一度脱色してから着色するから、白髪だけじゃなくて健康な毛髪もダメージを受けることになるの。 |
えっ! 白髪を黒くするために、わざわざ黒い髪もいったん白くするってことですか? そんなことして髪は大丈夫なんでしょうか? |
大丈夫なわけないじゃない!僅か数パーセントの白髪を染めるために、健康な黒髪が色素を抜かれてから人工的な色を入れられるなんて、髪にとっては瀕死の重傷ものよ。 |
元気な髪からしたら、とんだ迷惑ですよね。。 |
そうね。さらにやっかいなのは、それだけの破壊力を持った薬剤が頭皮についてしまうことなのよね。 髪を育てている頭皮がダメージを受けてしまうとどうなると思う? |
えっと・・・、新しく生えてくる髪も弱ってしまう? |
そう。そのダメージの蓄積で、髪に充分な栄養が届けられないから足腰の弱い髪になってしまっている可能性はありそうね。
|
でも、「白髪を染めるな」なんて言うと、落ち込むだろうなー・・・・ |
大丈夫。数年前から髪を染めずに「着色」するタイプの白髪染めが出てるのよ。このタイプは髪の表面にナノ化された色素をコーティングするだけだから髪や頭皮を傷めることなくカラーリングが出来るのよ。 |
スゴイ!進化してるんですね。でもそんな良いものだったらなぜみんなそっちを使わないんですか? |
ひとつデメリットがあるの。薬剤式と違って染まりにくいし色が落ちやすいのが難点なのよね。 でも最近ではそのデメリットも解消されていて色持ちが良く染まりやすい商品もたくさん出てきているわよ。 |
へー。それいいですね。髪や頭皮も傷めずに、楽に染められるなんて救世主のようですね。 |
そうね。でも色持ちなどはとても絶妙なバランスで成り立っているからメーカーの開発力によってバラツキがあるのよね。 |
イオリ先生のおすすめの商品はあるんですか? |
ありがとうございます!さっそく母にプレゼントしてみます! |
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