いつの間にか髪の毛に変なうねりが出てくるようになった、という女性は多いようです。
きれいにカーブするくせ毛ならまだしも、チリチリだったり大きめのうねりだったりと一定していないと、とても目立ちますよね。
加齢とともに増えるこのうねり毛、元に戻すことはできないのでしょうか。
今回は、髪のうねりの原因となる毛穴の変形と、それをもたらす加齢やその他の理由について解説しましょう。
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髪がうねってしまうのはやっぱり年齢のせい?
40代頃から髪のうねりが気になり出したという女性は多く、美容院でもその相談に来る人が増えるといいます。
中にはうねりを抑えるために縮毛矯正やストレートパーマを繰り返し、今度は髪のダメージでうねりが出てしまっていることもあるようです。
しかし、実際には髪のうねりに悩むのは中高年層だけではありません。
日本人の髪質は約9割が直毛といわれていますが、別の説では7割がくせ毛だとも。
後者は美容師の意見で、実際に髪を見て触れての実感です。
NBBA(全国理美容製造者協会)の2017年の調査によると、美容院を利用する女性の年代は10代から60代まで満遍なくいます。
そんな利用客の髪を実際に見て触っての実感となれば、先天的であれ後天的であれ、くせに悩む女性は少なくなさそうです。
実際、ストレートパーマをかけるという女性はむしろ10~20代に多く、若い頃からくせに悩んでいるであろうことが推測できます。
また、ナガセビューティケァの調査でもくせ毛やうねり毛に悩む女性は多く、20代が51%、30代が57%、40代が41%、50代が30%、60代が26%という結果が出ています。
先天的なクセやうねりで悩んでいる女性もいるでしょうし、加齢とともにうねりが出ることは花王総合美容研究所などの調査でわかっています。
しかし、若い女性のほうが悩んでいる割合が多いことを考えると、加齢以外の後天的な原因でも発生するといえそうですね。
頭皮のたるみ⇒毛穴の変形⇒髪のうねり
髪がうねったりくせが出たりすると、髪の毛を必死にドライヤーやコテで伸ばしてしまいがちです。
しかし、実際には髪のうねりは毛穴が原因のことが多いのです。
私たちは自分の頭皮をじっくり見たことがありませんが、触ってみるとほとんどの人が硬いのではないでしょうか。
特に頭頂部が最も硬く、後頭部の下のほうと比べるとその差ははっきりわかります。
この硬さが問題になるのです。
頭頂部は重力の影響が最も強い部分です。
皮膚に伸縮性がないと、下へ下へと垂れていってしまいます。
そのため、頭頂部は引っ張られてピンと張るため硬く、下に行くにつれてたるみが貯まって柔らかい手触りになるのです。
つまり、頭頂部が硬ければ硬いほど、たるんでいるということになります。
皮膚がたるむとどうなるかというと、頬の毛穴を見るとよくわかります。
加齢とともに毛穴が下に広がって、涙型になっていきますよね。
この毛穴の変形が、頭皮部分にも起きるのです。
頭皮の毛穴からは髪の毛が生えていて、毛穴は髪を支える重要な働きをしています。
そのため、毛穴の変形で広がってしまうと髪を支えきれなくなってしまい、うねりが出やすくなるのです。
この原因に加え、加齢による髪の成分の分布変化によって、さらにうねりが強くなります。
髪の毛の成分はケラチンというタンパク質が主ですが、ケラチンタンパク質には水分を吸収しやすいオルソ(オルト)コルテックスと吸収しにくいパラコルテックスの2種類あります。
直毛の場合、この2つがバランス良く配置されているのですが、くせ毛は偏って分布しているため、吸水性の違いから髪にうねりが出ます。
花王総合美容技術研究所によると、このオルソコルテックスとパラコルテックスの分布が加齢とともに変化し、2つに分かれてしまうことがわかりました。
そのため、元々は直毛でも加齢とともにうねりが出てくることも少なくありません。
このように、毛穴の変形に加え成分分布の変化も発生すると、うねりが強く出てしまうのです。
毛穴を変形させてしまう加齢以外の原因とは
さて、前述のように、髪のくせやうねりで悩んでいるのは中高年とは限りません。
原因は毛穴の変形にあるものの、それを引き起こしている理由は別にもあるのです。
シャンプーによる頭皮の乾燥
多くの女性が毎日シャンプーをしていますが、使用している製品はほとんどが高級アルコール系と呼ばれる、洗浄力が非常に強いものです。
主な洗浄成分はラウリル硫酸かラウレス硫酸で、泡立ちが良すぎて頭皮の皮脂をすべて取り去ってしまいます。
そんなシャンプーを毎日使用していると、頭皮が常に乾燥した状態になり、段々硬くなってしまいます。
すると柔軟性が失われて毛穴の変形が起こり、開いたままの状態になってしまうのです。
シャンプーやリンスのすすぎ残し
意外と多いのが、シャンプーやリンスのすすぎ残しです。
特にラウリル硫酸は分子が小さいため、毛穴に入り込みやすいのです。
中の汚れが落ちやすいという利点もありますが、しっかり洗い流さないと毛穴内に残ってしまいます。
すると毛穴が詰まったり炎症を起こしたりして毛穴の変形が起こり、うねりが出てくるのです。
パーマやカラーリングの薬剤残留
パーマや2剤式ヘアカラーリングでは、アルカリ剤と過酸化水素を使用します。
アルカリ剤はキューティクルを開いて薬剤を浸透させ、過酸化水素は髪を脱色したり柔らかくしたりする働きがあり、きれいなカールやカラーを作り長持ちさせるために必ず必要です。
しかし、この2つの薬剤は普通のシャンプーでは除去できず、何週間も髪に留まります。
これらにはタンパク質を変質させる作用があるため、髪のダメージだけでなく毛穴の変形も引き起こしてしまうことがあるのです。
特に、市販のホームカラーは薬剤が非常に強いため、使い続けると毛穴に薬剤が貯まり、うねりがひどくなる可能性があります。
また、美容院では施術後これらの薬剤を除去する特殊なシャンプーを使用してくれるところもありますが、ほとんどの美容院では使用していないともいわれています。
そのため、市販品を使用するよりはマシとはいえ、美容院で施術しても髪や頭皮のダメージは数週間続くと考えたほうが良いでしょう。
常に結んでいるヘアスタイル
ポニーテールや編み込み、ツインテール、ツイストなど、髪を引っ張って止める髪型は毛穴に負担をかけてしまいます。
常にその状態でいると毛穴が段々開いてしまい、元に戻らなくなってしまうのです。
これはエクステも同様で、寝ている間もつけっぱなしになるため、その部分だけ毛穴が広がってうねり毛になることがあります。
ストレスなどによるホルモンバランスの乱れ
毛穴の中には皮脂を分泌する皮脂腺があり、女性ホルモンには皮脂の分泌を抑える働きが、男性ホルモンには分泌量を増やす働きがあります。
女性にも男性ホルモンはありますが、微量のため普段はそれほど影響はありません。
しかしストレスが貯まると自律神経が乱れ、女性ホルモンの分泌量が減ってしまうことがあります。
すると男性ホルモンの作用が強く出るようになり、皮脂分泌が盛んになります。
そのため髪の土台となる毛穴が開いてしまい、真っすぐに生えてこなくなるのです。
脂っこいものの食べ過ぎ
脂肪分や油性成分が多い食べ物を食べ過ぎると、皮脂分泌も過剰になります。
皮脂は分泌された時は柔らかい液状ですが、時間とともに硬くなり、毛穴に詰まってしまいます。
すると毛穴が塞がれ、皮脂の隙間から生えてくる髪はうねりやすくなるのです。
この場合、皮脂が酸化しているので悪臭を伴うことが多いようです。
毛穴の変形による髪のうねり改善のポイント
加齢によってコルテックス内の成分分布が変わってしまうのは、どうにもならないかもしれません。
しかし、それ以外は毎日のケアを続けていれば、徐々に改善されていきます。
改善ポイントをいくつかご紹介しましょう。
シャンプーを変える
頭皮の乾燥は毛穴の変形を招くため、洗浄力が強すぎるシャンプーの使用を避け、アミノ酸系やベタイン系など、洗浄力が穏やかなものを使用しましょう。
主成分がアミノ酸なので皮膚への刺激が弱く、しかもヤシ油由来などが多いので適度な油分が補給され、頭皮の乾燥を防いでくれるのです。
なお、シャンプーにはスカルプ系の頭皮改善作用のあるものもありますが、さっぱり感を強調するためにアルコール(エタノール)を多く配合してあるものがあります。
アルコールは様々な成分を均一に混ぜるために必要な成分ではありますが、頭皮を乾燥させてしまいます。
できるだけアルコール無添加、あるいは使用量が少なめなものを選びましょう。
男性用はアルコールの量が多いので、避けてくださいね。
シャンプー後はすぐに乾かす
髪には吸水性があるため、シャンプー後の髪は重くなっています。
そのまま放置すると重みで毛穴が開きやすくなってしまいますから、できるだけ早く乾かすようにしましょう。
乾かす際はまずタオルドライでできるだけ水分を減らし、それからドライヤーを使用します。
髪や頭皮のタンパク質は60℃前後から変質を始めるので、低めの温風を当てましょう。
まずは頭皮を中心に乾かしますが、その時に注意するのが髪をあまりパサパサ動かさないことです。
濡れた髪はキューティクルが開いているため、摩擦によって簡単に剥がれてしまうことがあります。
すると髪の成分が流出してしまい、バランスが崩れてうねりやすくなるのです。
ドライヤーのほうをこまめに動かし、頭皮から髪全体まで8割ほど乾かし、最後に冷風を当てて毛穴とキューティクルをしっかり引き締めましょう。
ヘアオイルやコーティング剤で髪を守る
すでにダメージがひどくてうねるという場合は、シャンプー後に髪を保護するオイルやトリートメントを使用し、これ以上成分が逃げないようにしてあげましょう。
髪同士の摩擦も防げるので、髪のダメージが抑えられます。
ただし、トリートメントはシリコーンが入っていないものをお勧めします。
シリコーンは髪に強く吸着して保護してくれますが、シャンプーで洗い流す際にキューティクルまで剥がしてしまう可能性があるのです。
できれば植物性のホホバオイルやオリーブオイル、ツバキオイルなど髪に良いオイルを少量髪に伸ばしてコーティングしてあげましょう。
頭皮マッサージをする
頭皮マッサージは、毛穴の引き締めに最も高い効果が期待できます。
毛穴の変形は頭皮の柔軟性が失われたことによるもので、これには水分不足のほか血行不良も原因となります。
頭皮マッサージによって血行が良くなると、頭皮の柔軟性を保つコラーゲンやヒアルロン酸などが充分送られますから、毛穴の伸縮性を保つことができるのです。
特に加齢とともにこれらの成分は減少しますから、血行を良くしてできるだけ多くの栄養を送り込んであげましょう。
頭皮マッサージには様々な方法がありますが、垂れた毛穴を元の位置の戻すつもりで、下から上に行なうのが基本です。
後は、各部分に指を固定し、軽く円を描くようなつもりで回したり軽くプッシュしたりすると良いでしょう。
1回3分程度、1日に3回以上行なうと良いといわれています。
無理に力を入れる必要はないので、丁寧にやさしくマッサージしてくださいね。
女性用育毛剤を使用する
頭皮マッサージの際に使用すると効果アップを助けてくれるのが、女性用育毛剤です。
女性の髪のうねりやパサつき、抜け毛、薄毛などの多くは頭皮の乾燥から来ているため、女性用育毛剤には保湿成分がたっぷり配合されているのです。
また、最近は髪トラブルに悩む女性が増えているため、美容成分をナノ化して浸透を良くしたり、高価な高機能成分や10種類以上の天然美容成分を配合していたりと、高品質なものが増えています。
これを頭皮マッサージの時に使用すると、血行が良くなっているので浸透がさらに良くなり、頭皮環境がどんどん良くなっていきます。
すると毛穴の変形の改善も期待でき、うねりの軽減につながるのです。
栄養バランスの取れた食事をする
毛穴や頭皮細胞の健康は、毎日の食事によって作られています。
細胞の主成分はタンパク質ですから、動物性・植物性タンパク質をしっかり摂りましょう。
また、食べたタンパク質は一度アミノ酸に分解されますが、その際にはプロテアーゼという分解酵素と、分解酵素を助ける補酵素が必要です。
プロテアーゼは体内に存在しますが、補酵素は食事から摂取する必要があります。
この補酵素となるのがビタミンとミネラルで、特にビタミンB6や亜鉛が不足するとアミノ酸が不足し、タンパク質が不完全なものになってしまいます。
ビタミンB6も亜鉛もタンパク質内に含まれていますが、日本人の平均摂取量は必要量を満たしていません。
そのため、サプリメントなどで補うと良いでしょう。
根本的な髪質の改善は日々の積み重ねから
髪のうねりは、そのままにしていると何となくだらしない感じを与えますよね。
かといって、ドライヤーやコテで毎日のように伸ばすと、髪に非常にダメージを与えます。
前述のように髪は60℃前後から変質しますから、コテを毎日使用していると、パサつきや絡み、切れ毛などがどんどん悪化してしまいます。
そして最後には、いくらコテを使ってもうねりが取れず、まとまらない髪になってしまうのです。
もちろん、縮毛矯正も良くありません。
パーマの中で最も髪が傷むのが、熱によって髪のうねりやクセを伸ばす縮毛矯正なのです。
アイロンの温度は髪質や状態によって変えますが、ダメージ毛の場合120~160℃が適温といわれています。
しかし、テクニック不足の美容師ほど高温で長時間アイロンを使用する傾向があり、一度の施術でも髪は非常にダメージを受け、数回縮毛矯正をするとビビリ毛になってしまうこともあるのです。
このようなことになる前に、毛穴の変形を改善するよう、毎日のケアを積み重ねていきましょう。
毎日地道に頭皮マッサージを行なうだけでも、数か月後にはうねりが改善されてくるはずです。
うねりのない艶やかな美髪は、女性を5歳も10歳も若返らせてくれますよ。
カラートリートメントは、髪や頭皮にやさしい染料を使いますが、この染料の粒度がとても重要で、粒度が荒すぎるとキューティクルの隙間に入れませんし、逆に細かすぎると髪の隙間に定着できずに流れ落ちてしまいます。最近では定着力や染まりを高めるための技術も上がってきており満足度の高い商品も増えています。
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