最近、抜け毛に悩むのは男性だけではなくなってきています。
シャンプーすると排水溝に髪が詰まる、朝起きると枕にたくさん髪の毛がついている、ブラッシングするとごそっと抜ける…そんな女性が増えているのです。
女性の抜け毛はなぜ起こるのでしょうか。
原因と対処法をまとめましたので、思い当たることがあったらぜひ参考にしてください。
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このページの目次
原因の究明の重要性
まずは、抜け毛の原因を見つけましょう。
男性と女性の抜け毛の原因は違うことが多いのですが、正確な知識を持っていないと間違ったケアをしてしまい、抜け毛がさらにひどくなることがあるのです。
女性の抜け毛の原因は「加齢」や「遺伝」だけじゃない
抜け毛の原因は加齢と遺伝が関係するといわれます。
確かに、髪の毛を作る毛母細胞は年とともに老化しますし、抜け毛の原因の一つは遺伝だといわれています。
しかし、年を取ってもフサフサな人はいますし、遺伝と髪の研究をした結果、遺伝は確かにあるが、絶対的なものではないということがわかっています。
これは一卵性双生児を長期に渡り研究した結果で、環境が違えば全く同じ遺伝子を持っていても髪の量に変化が出ることが判明したのです。
また、男性の抜け毛は加齢によって男性ホルモンが減少することによるものです。
少なくなった男性ホルモンが、その働きを維持するためにDHTという強力な男性ホルモンに変化するのですが、DHTには脱毛促進作用があるため、抜け毛が増えるのです。
しかし女性の場合若い頃から男性ホルモンの分泌量は非常に少ない上、加齢による減少もあまりないといわれていますから、ほとんど関係ありません。
男性用の育毛剤を使用している女性もいますが、男性用の育毛剤はDHTの作用を抑える成分が中心ですから、大部分の女性には効果がないのです。
正しい対策を行えば女性の抜け毛は改善しやすい
男性の場合、DHTに対する有効な成分が次々に出ていますが、その割に薬でフサフサになるほど効果が出たという人はほとんどいませんし、副作用もかなり出ます。
しかし女性の場合、抜け毛を誘発するDHTのような不可避の成分が発生する訳ではないので、改善の余地がたくさんあるのです。
気になる抜け毛のチェックポイント
女性の抜け毛と一口に言っても、実際には色々あります。
1日100本前後抜けるのは普通だといわれますし、動物と同様季節の変わり目に抜け毛が増えるのもおかしなことではありません。
抜け毛が自然か異常か、をまず見極めましょう。
自然脱毛(正常な抜け毛)と異常脱毛の違い
髪の毛には生まれてから抜けるまでのサイクルがあります。
これをヘアサイクルといい、女性の場合4~6年前後です。
毛穴の奥には栄養の貯蔵庫である「毛乳頭」があり、ここから指令を出されて髪の素となる「毛母細胞」が細胞分裂を始めます。
細胞分裂が繰り返されていくと髪になり、毛穴から出て、成長していきます。
この期間を「成長期」といい、その間は毛母細胞がずっと細胞分裂を繰り返し、髪を伸ばします。
「退行期」はその後の数週間から1.5か月の間で、毛母細胞の働きが衰え、髪の成長が止まっていきます。
その後髪は毛母細胞から離れ、完全に成長を止めます。
「休止期」は数か月続き、その間に毛母細胞から離れた髪は少しずつ上に行き、最後に抜けます。
これが正常な抜け毛です。
異常脱毛というのは、このヘアサイクルが乱れて抜けた髪のことです。
何らかの原因で成長期が短くなり、成長し切る前に退行期に入ってしまいます。
あるいは、毛乳頭や毛母細胞を内包する毛球部分が通常より浅い位置に来てしまい、抜けやすくなることもあるようです。
自然脱毛と異常脱毛の見分け方
虫メガネで見ないとはっきり判断できませんが、自然脱毛と異常脱毛では毛根部が違います。
自然脱毛の場合、毛根部が太くふっくらとしており、毛先までの太さがあまり変わりません。
それに対して異常脱毛の場合、長さが短く、毛根部も非常に細くなっています。
毛先に向かって細くなるという特徴もあります。
頭皮で抜け毛の危険度がチェックできる?
抜け毛と頭皮には大きな関係があるため、頭皮を見たり触れたりすることでも抜け毛の危険度をチェックできます。
・頭皮の色
健康な状態の頭皮は青みがかっています。
これが赤っぽいようであれば血液が滞留していることになり、血行障害を起こしている可能性があります。
そのままの状態が長く続くと髪の毛に十分な栄養が届かなくなり、抜け毛が増えてしまいます。
・頭皮の柔軟性
血行が悪い頭皮は柔軟性を失い、硬くなります。
おでこ部分を指で上下に動かし、頭皮を同じように動かせるかどうか、チェックしてみてください。
頭頂部は重力がかかっているので硬く感じますが、動くようなら問題はありません。
動かないようであれば髪の土台となる頭皮が硬くなってしまっているので、血行も悪くなり、抜け毛の原因となります。
秋に抜け毛が増えるのは異常ではありません
夏の終わりから秋にかけて動物の毛が生え変わるのと全く同じように、人間も9月~11月にかけて非常に抜け毛が増えます。
どのくらい増えるかというと、それ以外の時期が50~100本なのに対し、200~300本程度抜けるといわれています。
原因は、冬の準備のために毛母細胞が生まれ変わっている時期だからだといわれています。
ですから、秋に抜け毛が増えるのは自然なことで、心配する必要はありません。
ただし、秋の抜け毛には他の原因の場合もあります
夏に髪にダメージを与えてしまった場合も、抜け毛が増えることがあります。
そのいくつかを見てみましょう。
①紫外線
5月以降紫外線が強くなりますが、その季節にしっかりUVケアをしていないと毛母細胞が紫外線による活性酸素でダメージを受け、髪の成長に悪影響を与えることがあります。
②皮脂過剰
夏は皮脂の分泌が過剰になりやすく、頭皮の常在菌マラセチア菌が増殖してしまうことがあります。
そのために炎症が起こり、毛穴を通して毛母細網にもダメージを与えてしまいます。
また、皮脂が毛穴に詰まることでも炎症が起こることがあります。
③頭皮の乾燥
職場の冷房や扇風機の風によって頭皮の水分が蒸発し、乾燥してしまうことがあります。
するとかゆみを伴って乾性フケが発生し、そのフケが毛穴を塞いでしまい、髪の成長を抑制してしまうといわれています。
④栄養不足
夏は食欲不振になることが多く、栄養バランスが崩れがちです。
また冷たいものばかり摂取すると内臓の働きが悪くなり、血流も悪くなります。
すると頭皮に十分な栄養が届かなくなるため、毛母細胞が細胞分裂できなくなって成長期が止まってしまい、抜け毛になります。
この場合も、涼しくなって体調が整うようになれば抜け毛は治まってくるので、それほど心配する必要はありません。
しかし特に紫外線によって毛母細胞のDNAが損傷されてしまうと、秋を過ぎても抜け毛が減らなくなってしまう危険性もあります。
主な抜け毛の原因と対処法
女性に多い抜け毛の原因とその対処法をまとめました。
夏によく起こりやすいこともありますが、一年中抜け毛に悩まされている場合、原因が深刻化している可能性があります。
【ホルモンバランスの乱れ】を招く原因と対処法
<原因>
女性の場合、特に多いのが女性ホルモンのバランスの乱れです。
女性ホルモンにはエストロゲン(卵巣ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があり、どちらも髪の成長に大切なホルモンです。
特にエストロゲンは女性らしさを作るホルモンで、髪の毛の健康に大きく関わっていると考えられています。
ところが女性ホルモンは非常にバランスが崩れやすく、生理や妊娠・出産、更年期などで分泌量が大きく変化します。
特に妊娠中は女性ホルモンが増えるため、髪の成長期も伸びて抜けにくくなるのですが、出産するとホルモンが急激に減るため、本来の成長期を過ぎても留まっていた髪が退行期・休止期に入り、出産2~3か月後からどんどん抜けてしまうことがあります。
また、更年期になると女性ホルモンの分泌量が大幅に減るため、髪が抜けやすくなります。
もう一つ、髪の健康には成長ホルモンも大きく関係しています。
成長ホルモンは熟睡中に大量に分泌され、細胞を修復したり血中の脂肪を燃焼させたりする働きがあります。
睡眠不足や熟睡時間が短いと成長ホルモンの分泌量が少なくなるため、毛母細胞の新陳代謝が十分に行なわれなくなってしまい、抜け毛を招くことがあります。
<対処法>
生理がある間は女性ホルモンの分泌量は毎日のように変化するようになっており、これを自力でコントロールすることはできません。
しかしストレスがホルモンバランスを崩すことがわかっているので、できるだけストレスを溜めないよう、自分なりの解消方法を見つけておくことが大切です。
このほか、女性ホルモンを作る卵巣細胞はタンパク質でできているので、タンパク質不足は卵巣機能を低下させ、女性ホルモンの分泌量を減らしてしまいます。
鉄分も細胞が新陳代謝するのに必要な酸素を運ぶ働きがあるので、生理で鉄分が不足しがちな女性は積極的に摂取しましょう。
また、女性ホルモンの分泌量が髪の健康を維持するのであれば女性ホルモンを増やせば良いと考えがちですが、残念ながら増やすことはできません。
女性ホルモンは卵巣から作られるため、卵巣が加齢とともに機能低下すると卵胞が減り、エストロゲンやプロゲステロンを作れなくなってしまうからです。
通常、30歳前後をピークに女性ホルモンの分泌が減り始め、閉経後はほとんど分泌されなくなります。
とはいえ、これはあくまで平均値であり、60歳を過ぎても分泌が続く人もいます。
逆に最近30歳後半あたりで卵巣機能の低下が始まり、若年性更年期を迎えてしまう女性も増えています。
これは栄養不足、運動不足、ストレスなどが原因といわれ、本来の卵巣の寿命を短くしてしまうのです。
卵巣はなくても生命維持に問題がない部位とされており、心臓や脳などに比べるとこれらの原因の影響を受けやすくなります。
そのため卵巣を正常に働かせるよう、正しい日常生活を送ることが大切です。
【栄養不足】を招く原因と対処法
<原因>
女性の栄養不足の一番の原因は、無理なダイエットによるものです。
TVや雑誌、ネットなどで色々なダイエット方法が紹介されるたびに、スーパーからその食材が消えるのはよく知られていますね。
正しい方法を理解し、短期だけ行なうのであれば問題はありませんが、早く痩せようとするあまり自己流の解釈をしてしまう女性は少なくありません。
それ以外にも手軽なコンビニ弁当ばかり食べる、好き嫌いが激しいといったことも栄養不足に陥る原因となります。
ホルモンの項で書いたように、栄養は生命維持に必要な心臓や脳などから先に回されるため、卵巣だけでなく頭皮にも栄養が回らなくなります。
特に「髪は血の余り」といわれており、血=栄養が有り余るほどなければ髪にまで行かないのです。
<対処法>
1日の中で栄養バランスを取るのは難しいですが、せめて1週間単位で不足分を取り戻すようにしましょう。
タンパク質は全身の細胞を形作る成分ですし、体内でアミノ酸に分解されて髪のケラチンタンパク質に再合成されるので、健康で抜けにくい髪を作るために必要です。
また、タンパク質をアミノ酸に分解するにはビタミンとミネラルが必要です。
肉や魚、大豆類、野菜、海藻などをしっかり摂りましょう。
特に発酵食品は腸内環境を整え栄養の吸収を良くするので、味噌や醤油、納豆、ヨーグルトなどを積極的に食べてください。
【血行不良】を招く原因と対処法
<原因>
血行不良を招く大きな原因は栄養不足ですが、それ以外にも女性特有の原因があります。
血液は筋肉の動きに合わせて全身に押し出されるため、筋肉が少ない女性は元々血行不良になりやすくなっています。
また、特に腰から女性器の部分は非常に複雑な作りになっているため、ガードルやストッキングで締め付けると血行不良を起こしやすいのです。
熱は血液の移動によって発生するため、血行不良になると身体が冷えて血管が収縮し、さらに血行不良になるという悪循環に陥ります。
<対処法>
血液を全身に循環させるには、ふくらはぎを使う運動をするのが手っ取り早いです。
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、血液を全身に巡らせる心臓のポンプの働きをサポートしています。
普段あまり歩かない場合は、1日15分の散歩から始めましょう。
ちょっとした時間に前屈したり、背伸びや足首を前後に動かしたりすることでもふくらはぎの筋肉は動きますから、少しずつ血行が良くなります。
夜はのんびり入浴して、全身を解きほぐしましょう。
体温が高まると筋肉がほぐれて血行が良くなりますし、適度な水圧によっても血液が全身に回りやすくなります。
シャワー派の場合は、足湯をしましょう。
洗面器にお湯を張り足を入れてしばらくすると、全身が温まってくるのがわかります。
もちろん、きついガードルやハイヒール、サポートストッキングの着用も良くありません。
着用が必要な場合は毎晩マッサージやストレッチをして血行を良くし、足を高くして寝るなどの対処法を取りましょう。
【頭皮環境の悪化】を招く原因と対処法
<原因>
「頭皮環境」という表現は漠然としていますが、かゆみやフケが出るようなら「頭皮が健康な状態ではない=頭皮環境が悪化している」と考えてください。
女性の場合、頭皮環境の悪化を招く大きな原因はシャンプーです。
1日1~2回シャンプーをしている女性が非常に多いですが、五味クリニック院長五味常明氏によれば、シャンプー剤を使用しての洗髪は2~3日に1回で十分だそうです。
健康な頭皮は弱酸性をしていますが、これは頭皮に存在する常在菌によって保たれています。
しかし洗い過ぎると皮膚に必要な常在菌がいなくなってしまい、その代わりにもっと強力な雑菌が繁殖してしまい、強いニオイとかゆみが起こります。
頭皮は炎症を起こし、それが毛穴の奥にまで広がると毛母細胞もダメージを受け、抜け毛になりやすくなるのです。
また、脱脂力の強い高級アルコール系シャンプーは髪のキューティクルにある脂質を取り去ってしまい、キューティクルが傷つきやすくなります。
するとその部分にホコリや皮脂が入り込みやすくなり、髪がダメージを受けるだけでなく頭皮が不潔な状態になりやすいため、毛母細胞にも悪影響を与えます。
さらに、シャンプーのし過ぎによって皮脂がなくなると、頭皮の水分を保てなくなり皮膚バリアがなくなってしまいます。
皮膚バリアには紫外線の害から頭皮を守る働きがあるので、なくなると紫外線を直接浴びることになってしまいます。
紫外線は頭皮表面に炎症を起こさせるだけでなく、皮膚の奥まで侵入して細胞のDNAを損傷してしまいます。
すると毛母細胞が細胞分裂できなくなり、髪が短いままで抜けてしまいます。
<対処法>
シャンプーを見直すだけで、頭皮環境は大きく改善します。
洗浄力や脱脂力の強い高級アルコール系シャンプーの使用を控え、マイルドなアミノ酸系のシャンプーや無添加シャンプーに切り替えましょう。
また、シャンプー剤を使用しての洗髪回数を減らし、湯シャンと交互にするだけでもかなり違います。
髪のホコリや汚れはぬるめのお湯で、頭皮の皮脂は42℃程度のお湯で70~80%洗浄できます。
夏場や汗をかくことが多い場合は毎日シャンプー剤を使用しても良いのですが、頭皮に触れてみて脂っぽいと感じない時は湯シャンで済ませましょう。
それと同時に、頭皮を紫外線から守りましょう。
日傘や帽子、UVカット成分が配合されたトリートメントなどで、できるだけ髪と頭皮が日光に当たらないようにしてください。
【自律神経の乱れ】を招く原因と対処法
<原因>
自律神経には交感神経と副交感神経があり、この2つがバランスを取ることで身体の各機能が正常に働くようになっています。
交感神経は「闘争と逃走の神経」とも呼ばれ、日中外部から受ける刺激に対処するために働き、全身を緊張させる作用があります。
副交感神経は午後6時前後から活発化し、全身をリラックスさせ筋肉や血管を弛緩させる働きをします。
しかし、元来朝から夕方にかけて活発化するはずの交感神経が、夜になっても優位なままの状態になっている人が非常に増えています。
これはストレスによって、夜になっても全身が闘争体制のままになってしまうからです。
また、夜遅くまでのパソコンやスマホ、ゲーム機などで脳が興奮していることでも、交感神経が働き続けてしまいます。
するといつまでも血管が収縮したままになり血流が非常に悪くなるため、頭部にまで栄養が回らなくなってしまうのです。
<対処法>
昼間のストレスを夜まで持ち越さないよう、リラックスできる方法を考えましょう。
音楽を聴く、本を読む、運動する、カラオケで熱唱する、アニマルカフェで癒されるなど、人によって方法は違いますので、自分なりの方法を見つけてください。
また、就寝の2~3時間前には脳の興奮を鎮めるために、パソコンやスマホ、ゲーム機などの使用は止めましょう。
ぬるめのお湯でのんびり入浴し、血行を良くして体温を上げると副交感神経が活発化します。
その後体温がゆっくり下がることで睡眠ホルモンのメラトニンの分泌が活性化され、眠くなってきます。
ぐっすり眠ることで成長ホルモンの分泌が良くなり、毛母細胞の損傷が修復されて抜け毛になりにくくなりますし、脳も様々な情報を整理することができるのでストレスの緩和につながります。
まとめ
女性の抜け毛や薄毛は男性と違う原因があるので、女性に合った対処方法を取ることが大切です。
早めの対処が有効です!出来ることから始めましょう
女性の抜け毛には特効薬はありませんが、日々の生活習慣を見直すだけで効果が出やすいので、一日も早くできることから始めるようにしましょう。
一番簡単なのは入浴や足湯でしょうか。
身体が温まれば必ず血管が広がりますから、それと同時に全身がリラックスして副交感神経が優位になります。
その状態で就寝するようにすれば成長ホルモンが良く出ますし、朝起きると同時に内臓も動き出します。
すると胃腸も動いてしっかり食事できるようになりますから、栄養が十分体内に回り女性ホルモンの分泌が良くなりますし、頭皮に髪の成長に必要な栄養素も届くようになります。
一度にあれこれ始めるのは大変ですから、一番簡単にできそうなことから始めてみてくださいね。
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